日本史は、我々日本人にとって、もっとも馴染みが深いテーマですが、まだまだゲーム化されていないテーマの宝庫と言うことができます。
「日清戦争」「上野寛永寺の戦い」は恐らく本邦初のウォーゲームの登場です。
「義経」は過去なんどかゲーム化されたテーマですが決定版と言いうる作品がないうえに、「カードドリブン・システム」「行動チット」等の最新のシステムと、トレーディングカードゲームで有名な「デッキメイク」システムを融合させるという、極めて野心的なシステムを試みています。
今回はこの「義経」「日清戦争」「上野寛永寺の戦い」の豪華3in1でお届けします!乞う、ご期待!
収録作品 義経 ~池田康隆デザイン~
1180年、富士川の戦いの直前から、屋島の戦い頃までの源平の争乱を、池田氏得意のカードドリブンでゲーム化。
毎ターン両プレイヤーが選んだカードでデック(山札)を組み、それを用いて両軍の行動とイベントを処理するという新システムを採用。戦闘は兵力の数だけダイスを振って指揮官の戦闘力以下の出目の数だけヒットとする「1でなサイ」システムで、兵力を集中させるほど攻撃力が増大するが、ターン終了時にエリアごとに定められた兵力制限を越える兵力は除去されるというルールがあるため、一箇所に集められる兵力にはおのずと限られるようになっている。
源義経、木曽義仲などの猛将を抱えた上に河野、緒方、僧兵衆といった諸勢力を操り、戦術面での圧倒的優位を誇る源氏方には、厳しい勝利条件が設定されており、戦力の大半を西日本に振り向けなければならないが、ゲーム終盤には奥州藤原氏が参戦してくる可能性もあるため、鎌倉の防衛にも注意を払う必要があるだろう。
骨肉相争い、味方とはいえ全幅の信頼を寄せることが難しかった源平当時の状況を斬新なシステムで再現し、1プレイ2~3時間のスケールで纏め上げた才気迸る逸品。
収録作品
日清戦争 ~田島準デザイン~
本邦初、日清戦争をキャンペーンレベルで再現したSLGがついに登場!
ユニットは旅団規模であり、日本軍はゲーム開始時の2個旅団から最大9個旅団を動員可能であり、一方清国軍はゲーム開始時に8個旅団を持ち最大10個旅団まで動員可能であり、数的には優勢であるが個々の部隊の能力では劣っており、加えて手数では日本軍が優位にある。
ユニークな点として、ユニットの行動、編成、海上輸送等にコマンドポイントを必要とする。
各プレーヤーは毎ターンサイコロを振り、出た目に等しいコマンドポイントを受領するが、日本軍はサイコロを振って出た目がコマンドポイントになるのに対し、清国軍はサイコロを2個振って小さい方の目がコマンドポイントになるので、一般に手数では日本軍が優位にあるが、絶対的なものではない。
その他、戦闘はファイアーパワーだが攻撃には弾薬ポイントを必要とするので、プレーヤーは部隊の運用以上に、コマンドポイント、弾薬ポイントのマネージメントに留意しなければならないなど、テーマの目新しさのみならず、シンプルなゲームとしてもボリュームの割りに内容は充実している。
野寛永寺に立て籠もった彰義隊と明治新政府軍との戦いを、ユニット30個のスケールで描く。
両軍はアルンヘムシステムに準拠した戦闘ルールにより寛永寺周辺地域の攻防を行う。初期配置は互いに秘密裏に行うため、両軍の思惑次第でまったく異なる展開を楽しめる。
新政府軍は兵力と火力において彰義隊に勝るが、両軍が白兵戦を継続しているヘクスには射撃を行えないというルールがあり、白兵戦能力に特化した「原田左之助」「大久保忠宣」などの突撃をいなしつつ、アームストロング砲の強烈な砲撃と「西郷吉之助(隣接するユニットの戦闘力を1高めるが、戦死すると新政府軍の敗北が確定)」、偽会津藩兵などをうまく活用して、一日(8ターン)以内に敵を壊滅させなければならない。
新政府軍東下後最初の本格的戦闘となった上野戦争を、短時間でかつ複数回の再戦に耐えうるプレイアブルなルールで再現した秀作。