激闘硫黄島
1945年2月19日。硫黄島の沖合に空前の大艦隊が接近し、同時に猛烈な砲爆撃が開始された。1ヶ月余りにおよぶ、栗林兵団の激戦のはじまりである。迎えうつ栗林兵団2万2千名に対し、攻める米第5両用戦軍団は海兵3個師団、7万5千人。圧倒的な兵力と火力を誇る米軍は、当初四方5キロに満たない小島・硫黄島の占領を5日間で予定していたが、その目論見は脆くも崩れた。
硫黄島の戦闘は塹壕1塁、陣地1個を巡る激闘となり、結局栗林兵団の抗戦は激闘40日、日本軍の死傷者2万1千に対し、米軍の死傷は2万9千におよんだのである。硫黄島の攻防戦は、太平洋戦争で攻撃軍の損害が防御軍の損害を上回ったほぼ唯一の戦例となった。激烈きわまる戦闘の終結と共に、硫黄島は米海兵隊にとって最大の激戦が戦われた聖地となり、無数の日本軍将兵の魂が眠る墓標となった。
ビルマの落日
1944年、ビルマ戦線は崩壊の危機に瀕していた。
ウィンゲート率いるウィンゲート兵団がビルマ領内奥深く侵攻してきたうえ、西側のインド正面には英印軍、東北の雲南正面には中国国民党の雲南遠征軍、北にはフーコン峡谷からの侵入をはかる米式装備の新編第一軍、そして南のベンガル湾方面からは英印軍が洋上から上陸の機会を伺う。対する大日本帝国ビルマ方面軍の正面戦力は僅か6個師団、増援・沿岸守備兵を含めても10個師団で広大なビルマ全土を守りきらねばならない。そのために帝国陸軍がなしうる作戦はただ一つ、ビルマ国内に侵入せんとする英印軍、米支軍、雲南遠征軍を内線の利を生かして各個撃破あるのみである!しかしここでビルマ方面軍最古参の牟田口第15軍司令官が提唱したのは、アラカン山系を遙かに越え、インド領奥深く侵攻する、一かバチかの危険な賭・インパール作戦だった…
ゲームは1945年2月から3月にかけて戦われた、硫黄島における栗林兵団と米海兵隊の死闘を描く。
本作は、半ブラインドサーチシステムを採用しており、日本軍は米軍に秘密でブラインドマップに配置される。米海兵隊は空軍及び艦砲の支援による凶悪なまでに圧倒的な火力を誇る。このためまともに米軍と戦えば絶対に太刀打ちできない日本軍にとって、最大の味方となるのが、硫黄島の堅固な地形と、全島に張り巡らされた洞窟陣地である。
マップはエリアシステムで分割されており、各エリアごとに固有の防御値があり、隠匿配置可能な陣地マーカーとあいまって米軍の砲火を減殺する。このため圧倒的な火力を誇る米軍といえど、火力の分散は火力の不足を招くき、また日本軍の配置を読み間違えると、強力な砲火も空撃ちに終わる。さらに、洞窟陣地に隠匿配備された日本軍の火力は決して侮れず、不用意に上陸したり、前進しようとする米軍プレーヤーは、死にものぐるいの日本軍の厳しい洗礼を浴びることになるだろう。
おそらく本邦で初めてこのテーマを取り扱った作品であるばかりか、両プレーヤーの戦略によって毎回めまぐるしく展開が変化する、プレイアブルかつ帝国陸軍テーマの全作品を通じてもベストに数えるべき、傑作!
ゲームは、インパール作戦に始まる44年ビルマ戦の全域をキャンペーンクラスで描く。ゲームは東側に中国(国民党)軍、西側にインド駐留の英連邦軍があり連合軍が外線の立場なのに対し、ビルマを守る日本軍が内線の位置にある。しかし連合軍は条件が許せば西南海岸への強襲上陸が、さらにウィンゲート旅団の空挺降下が可能で、日本軍はわずか十個師団程度の兵力で広大なビルマを防衛するためには、大胆に機動防御を駆使しなければならない。
日本軍は自らステップロスすることにより二次移動・三次移動、さらに戦闘のダイス目をプラスできるなど、特異かつ強烈な能力を持つ。このため損害を顧みなければどのような作戦でも実施できるが、一歩間違えば自軍が崩壊してしまうと言う、史実の日本軍を彷彿とさせる繊細かつ奔放な用兵が要求される。
貴官はビルマ戦線の崩壊を防ぎ、帝国の西の防壁を守り抜くことができるだろうか!?