合同軍側は、精強だが少数の地上軍、世界最強の航空戦力、ペルシャ湾を圧する水上部隊等を上手く活用し、空陸立体作戦を駆使してイラク軍を短期間で圧倒しなければならない。
主役となるのはバクダッドを目指す地上部隊だが、航空作戦及び艦艇発射の巡航ミサイルによる攻撃も重要なカギを握る。
対空放火で厳重に防備された施設の破壊には、ペルシャ湾に展開する潜水艦・イージス艦等から発射されるトマホークミサイルが威力を発揮する。
また、まず最初に敵の対空放火をかいくぐれるステルス爆撃機が砲台を潰しておき、後に続くB1爆撃機、F15ストライクイーグルなどの打撃部隊で止めを刺すなど、各種兵器を有機的に組み合わせた航空打撃作戦の組み立ても重要になるだろう。
合同軍側は、まず最初にイラク軍のレーダーサイトを叩き、劣勢だが無視できないイラク側の航空戦力を封じ込める必要がある。
敵のレーダー網が健在な間は、米空軍の優秀だが貴重な多目的戦闘爆撃機を、強力だが敵の戦闘機に脆い、A10などの攻撃機の護衛に回さねばならず、その分打撃力が削がれてしまうのだ。
レーダー網を早期に無効化してしまえば、攻撃機は迎撃を恐れずに強烈な対地攻撃力をいかんなく発揮することが可能になり、戦闘爆撃機の護衛任務を外して強力な攻撃能力を敵の地上部隊・施設攻撃にフル回転させることが可能になる。
こうして航空部隊の巨大な対地攻撃能力をフルに活用できる条件を整えた上で、敵の地上部隊及び通信網を破壊する。特に、通信網が絶たれてしまえば、巨大な地上兵力を擁するイラク地上軍も、圧倒的な航空兵力に支援された合同軍の精鋭地上部隊の前に各個撃破されざるを得なくなるだろう。
また、支配地域無視で暴れ回る強力だが、脆い諸刃の剣であるヘリボーン部隊の活躍もカギとなる。
一方イラク軍は、陸海空に圧倒的な合同軍と決して正面から戦ってはならない。特に、イラク軍最精鋭、共和国防衛隊の機甲部隊は可能な限り損耗を避けなければならない。
敵の最大の弱点、それは決して十分な地上兵力がないことだ。
歩兵部隊はひたすら都市に立て籠もり、機械化部隊は敵の側面を脅かすように機動する。
時間はイラク軍の見方である。
合同軍に分散を強い、無駄な戦闘をさせることに成功すれば、それだけバクダッドを長く持ちこたえさせることが可能になる。
そうすれば、熱砂の季節がやってくる。ペルシャ湾岸の嵐、それがサダム・フセインの”カミカゼ”になるかどうか・・・全ては貴方にかかっている!
イラク戦争は、3週間というごく短期でアメリカ軍の圧勝に終わりました。
この結果をアメリカ軍の圧倒的軍事力から当然視する意見も少なくありませんが、はたしてそれだけなのでしょうか?
イラク軍には戦争目的を達成するチャンスは無かったのでしょうか?
この作品は、2003年3月から4月にかけて戦われたイラク戦争の可能性について、「ボードシミュレーションゲーム」というツールを使って検証します。