参加者:
高梨俊一さん:元日本大学教授/ゲームデザイナー
福田誠さん:小説家/歴史ライター/ゲームデザイナー
古徳俊郎さん:本誌執筆者
大尉さん:某A省勤務
総合司会:
呼拉中村:本誌編集長
かつて、70年代から80年代にかけて、ウォーゲームの世界で「近未来戦」というジャンルが流行した時期があって、日本でもSSシリーズの「北海道侵攻」やアドテクノスの「SDFシリーズ」が出版されるなど、ボード・ウォーゲーム、パソコン・ウォーゲームを問わず、数多くのゲームが出版されました。
その状況はソ連崩壊による冷戦終結によって一変、特に日本国内では同テーマの作品がほとんど制作されない時期が長く続き、「近未来戦」テーマは死滅したような状況にありました。
ところが近年、ロシアのクリミア侵攻や中国の著しい軍備増強等により、次第に我が国を含む世界の安全保障環境が緊迫してきた結果、弊誌74号にて出版された「日中韓・現代海戦三国志」が近年まれにみるヒットを記録するなど、一度は「死んだ」と思われたこのテーマを取り巻く環境も一変することになったようです。
そこで、現在もっとも軍事衝突が懸念されている「台湾危機」と「ウクライナ危機」を念頭に、弊誌では「帰って来た近未来戦」をテーマに3月末に座談会の開催を企画しており、その席で近未来の戦闘において大きな変革をもたらすのではないかと予想されているサイバー戦、ハイブリッド戦、非対象戦などの議論をお願いする予定でした。
ところがそのうち一方の「ウクライナ危機」が「予想」から「現実の戦争」になってしまうという、恐らく多くの読者の方も青天の霹靂であったと思いますが最悪の自体を迎えてしまいました。
そこで今回は、予定を繰り上げて(既に予測から現在進行形の事態の検証になってしまった)ウクライナ侵攻について、緊急座談会を急遽開催することになりました。
なお今回は現在進行形の事態(当座談会収録の3月第2週時点)につき、本誌掲載時には既に内容がアウト・オブ・デイトになっていることがほぼ確実ですので、異例の事態ではありますがウェブ上の公開とし、今回の討論も踏まえた総括を次号(6月1日号)に掲載を企画しています。
福田 今回の戦争はソ連の亡霊たるプーチンがソ連邦復活を狙って引き起こしたもので、自由主義陣営からのウクライナ解放が最大の戦争目的であると考えています。ただ、開戦前に聞き及んだ展開兵力が約20万人ということだったので、ロシア一国の兵力だけで解放できるのだろうか、ということが開戦初日の疑問でした。
過去の戦例ではアフガニスタン侵攻時のパターンに類似していたので、ハイブリッド戦やサイバー戦の効果と合わせてキーウやハリキウなどの要所を電撃的に陥落させ、斬首作戦でゼレンスキー政権を解体して傀儡政権を打ち立てるということを考えていたようですが、その通りにはいかなかった。
ロシアの電撃戦が成功していれば、その後にウクライナが反撃に出ようとしても泥濘のシーズンとなって反撃が難しくなり、その間にロシア側の体制固めができたのでしょうが、ウクライナの予想以上の反撃で進撃や兵站の問題が生じて士気が低下し、ロシア軍が攻めあぐねているのが現状でしょうか。
大尉 ロシア軍の士気に関しては、当初ウクライナの民間人が戦車の前に立ちふさがって戦車をさがらせたり、ヒマワリの種を持った老婦人が警備中のロシア兵に詰め寄ってロシア兵に撃たれないとか、そういうネット上の映像を根拠に、ロシア軍兵士の士気が低いと言う主張がされていましたが、本当に士気が低い軍隊はそこで容赦なく撃ちますからね。そういう意味では、現段階ではまだロシア軍は相当自制している。ただこれが戦争が長期化するにしたがって次第にタガが外れていく、特に今後予想されるキーウ包囲戦では市街戦が凄惨な戦闘になることを懸念しています。
古徳 スターリングラード戦が再現されるかもしれない訳ですね。
中村 ただ僕はキーウはスターリングラードにならないと思っている。というのは、スターリングラードではヴォルガ川の東岸が安全地帯となって、ドイツ軍がスターリングラード市街を包囲することができませんでしたが、キーウの場合はドニエプル川の西岸に、ベラルーシから南下したロシア軍部隊が迫っている。これがさらに南下してキーウの南方でドニエプル川岸に到達したら、キーウは完全に包囲されて後方から遮断されてしまう。
ただしこの一帯は、独ソ戦ゲームではお馴染みの「プリャピチ湿地」の東端にあたって森林、湿地帯が続いてウクライナ軍の防戦に適した地形だったので、ロシア軍の前進も難航していた。ところがキーウより南方では森林が途切れて次第に平原が広がっているので、ロシア軍がじわじわ前進するとどこかで戦線が突破されて防衛線が崩壊する可能性がある。
ということで、僕は今密かにアサノそんし(旧GJ創始者)に得意の黒魔術で「雨乞い」の呪いをかけてもらうようお願いしています。というのは、マンシュタインの「バックハンド・ブロー」で有名な1943年春に東ウクライナで戦われた第三次ハリコフ戦では、3月20日頃から泥濘で戦闘が停止しているんですね。特に近年は地球温暖化で春の訪れが速まっているので、ウクライナの泥濘が早く来てくれれば、上手くいけばロシア軍のキーウ攻略が止まってくれるのではないかと期待しているんです。
大尉 当時と現在では状況が違い、主要道路が舗装されてきている。だから泥濘の効果は当時に比べれば小さくなってきているのではないでしょうか。とは言え、ロシア軍は道路を進み、都市で抵抗を受けて停まっている。主要道路上以外を進んで都市を包囲できない何らかの理由がありそうです。それが何なのか情報が出てきていないので、非常に興味があります。
中村 ロシア軍がこの時期を攻勢開始に選んだのは、地面が凍結していて泥濘が訪れる前の軍事行動に適している時期を選んだと言われているので、泥濘に一定の効果があることは間違いない。実際、ロシア軍戦車が道路上を縦列で走行している所を狙われて破壊されている映像も公開されている。
福田 ロシア軍64kmの大渋滞というニュースが報じられたとき、ウクライナ各地の気温を確認したところ、キーウのあたりは予想より気温が高くなり泥濘が早まっていたようで、ハイウェイ以外に進撃路がなくなったのではないか。さらに地図を確認すると、キーウの西側を流れるイルビニ川流域は田畑や荒れ地で、見事にそこで進撃が止まっていたので、ロシア軍が泥濘に阻まれたのは確実でしょう。ただ、今週(3月第2週)は気温が下がって再凍結し、少しは動けるようになっているかもしれない。
中村 というわけで僕としては「泥将軍」が早く猛威を振るってロシア軍をウクライナの泥の中に埋めてくれることを願うばかりです。
中村 冒頭のリードでも書きましたが、僕は「近未来戦」について二つの点で注目していました。それは第一に、2014年の「クリミア侵攻」でロシア軍が用いたと言われている「ハイブリッド戦」。クリミア侵攻では現地でなにが起きているのかという情報が一切外部に伝わらず、気が付いたら現地にロシア軍が進駐してほとんど無血で占領を許してしまった訳ですが、その原因としてロシア軍が「サイバー戦」を用いて現地の通信網を無力化し、外部との連絡を遮断している間に「非正規戦」で現地の権力を掌握してしまったとされています。第二は、「第二次ナゴルノ・カラバフ紛争」でトルコ軍の支援を受けたアゼルバイジャン軍が使用した「ドローン兵器」がアルメニア側の旧ソ連製重火器を次々と撃破することに成功したとされています。
これらの新しい技術やドクトリンによって、「近未来戦」が従来の戦闘と全く違う様相になると思っていたのですが、今回の戦争についてはその予想は全く外れて、クリミアでは完全にウクライナ側の情報を遮断した「ハイブリッド戦」が全く機能せずに、今回はウクライナ側のSNSやネットでの情報発信を全く止められていない。このことは、「ハイブリッド戦」で相手に全く対処する暇もなく浸透して敵の抵抗を無力化しようとしていたロシア軍にとっては、大きな痛手となったと思います。
また、ロシア軍が開戦劈頭の「精密誘導兵器」による攻撃でウクライナ軍の中枢を破壊して無力化すると言う20世紀型の「ハイテク戦争」も十分に成果を挙げなかったという西側軍事筋の分析もあり、「ハイテク戦」「ハイブリッド戦」等を駆使した21世紀の「近未来戦」になる筈だったのが、まるで第二次大戦の地上戦を見るような古典的な戦闘に逆行しつつある、ということも私の全くの予想外でした。
大尉 それまでのウクライナ紛争でロシア軍が用いていた「ハイブリッド戦」というのは、一例としては、当時のウクライナ側のSNSやネット環境に穴があって、事前にウイルス等で「サイバー戦」でウクライナ兵の個人情報を入手しておいて、スマホに偽の命令を送って指定された場所にウクライナ兵が現れた所を待ち伏せ攻撃する。そうやってウクライナ兵の無力化に成功したと言われています。ところが今回の戦争でロシア軍の「ハイブリッド戦」が機能していないように見える要因としては、それ以前のクリミアや東ドンパスの紛争で痛い目を見たウクライナ側がアメリカの支援も受けながら相応の対策を講じていた、つまり「ハイブリッド戦」の中核をなす「サイバー戦」に対抗することに成功したのだと思います。サイバー戦では攻撃側絶対有利と言われていますが、相応のサイバーセキュリティ態勢を構築すれば、サイバー戦においても「鉾と盾の論理」が働くということだと予想しています。
中村 そうですか。実は私はクリミアで成功して今回そうならなかった理由は、クリミアとウクライナ本土の最大の違いとして、クリミアは親ロ派住民が多かったのでロシア側の内通者の確保が容易だったのではないかと。それでクリミアでは「サイバー戦」が成功したのではなく実体はもっとローテクで、内通者が後方でネットのケーブルをぶちぶち物理的にカットしまくっていたのではないか、と「妄想」していました。
大尉 ハイブリッド戦には、クリミアのようなほとんど戦闘らしい戦闘が報道されなかった様相と、東部ウクライナのような正体不明の正規軍と衝突しているような様相が両方含まれていて、現状ではまだまだ真相は霧と言うしかないと思います。しかしながら、クリミアや東部ウクライナではウクライナ軍とアメリカ軍がロシア軍のハイブリッド戦について脅威を唱えて騒ぎまくったわけですが、実は真っ赤な嘘で、軍が予算をとるための方便や情報戦だったとすると、ロシア軍はそもそも古典的なパワー攻撃しかしておらず、案外中村編集長のお考えが正しいなんてこともあるかもしれません。
大尉 「ハイブリッド戦」のところでロシア側が今回ウクライナ側の情報発信を全く止められなくて、そのことが国際世論を有利に導く大きな力になっていて少なくとも「情報戦」ではウクライナ側が圧勝している状況に見えますね。ロシア側の情報戦が非常に陳腐に見えていて不思議ですらあります。
高梨 そうですね。逆にロシア側の発信は、誰も信じてくれない。
古徳 この調子でいくと、そのうち本当のことを言っても、誰にも信じて貰えなくなりそうです。
中村 中国のSNSの書き込み等も、当初は反米意識からロシア頑張れ的な意見が多数だったのが、最近になって反対の意見も増えてきているという話もありますね。ただ今後、いわゆる「人道回廊」を通じてロシア側に多数のウクライナ避難民が確保された場合、彼らの意見として「ロシア軍が来てくれて圧政から解放されました!」という意見が捏造されてプロパガンダに利用されるのではないかという指摘もあります。
大尉 今ロシア側からそういう情報が出てきていないのは、西側のメディアやSNSが故意にその種の情報を報道しないようにしているのでしょうか。予想されていた、いつの間にかロシア有利な怪情報が飛び交うといった事象が全く垣間見えません。実は我々が政府間の圧力やアメリカ資本のSNSによって、アメリカなどの情報戦の中で情報統制を受けていたりなんてことも妄想できそうです。
中村 少なくとも僕の見た限りでは、西側のメディアは「民間人の被害はウクライナ側の誤爆」とか「病院が攻撃されたのは出演者は俳優でウクライナ側のフェイクニュース」とか荒唐無稽なロシア側のプロパガンダも、そういう主張があること自体は(批判的に)報道しています。
高梨 それではロシア側が自軍に有利な情報を流す努力をしていないのでしょうか。
中村 公式なメディア以外で匿名掲示板とか真偽不明なアングラな情報が飛び交うネット上の情報を見ていくと、中にはロシア贔屓の意見が溢れているような板に遭遇することもあるのですが、そういった場所で騒いでいる「ノイジー・マイナリティ」のような人々はフェイクニュースも含めて都合のよい情報を血眼で探し出してくる熱意で計り知れない力を発揮することで定評があるのですが、現時点ではそういう場所でもまだ「ロシア軍が来て歓喜するウクライナ人民」のような画像、映像はなかなか探し出すことができません。だから現時点では、広めようにもネタ自体がまだ調達できていないのだと思います。
福田 敵撃破の動画や被害の情報等ですが、SNSまで情報統制されているロシア側にはほとんどなく、情報フリーでSNSを活用しているウクライナ側が圧倒的に多いことも、現実の戦況以上にウクライナに有利な条件になっていると感じます。こういう民間レベルの情報が戦略に影響してくるというのもまた21世紀の戦争なのでしょうね。
中村 僕が今一番注視しているのが、比喩ではなく文字通り物理的な意味で「ゼレンスキー大統領のクビ」がどうなるかという問題です。つまり、今後キーウが陥落してゼレンスキー大統領および政府首脳の身柄をロシア軍が抑えることに成功した場合、ロシア側は好き勝手に傀儡政権を樹立することができるようになるので、傀儡政権が全ウクライナ軍への武装解除を命令した場合は組織的抵抗を続けることが難しくなる。ところが仮にキーウが陥落しても、ゼレンスキー大統領ないし政府機能が後方のリビウもしくは最悪国外で亡命政権を樹立することができた場合、キーウの傀儡政権と「亡命政権」が並立することになって、その場合ウクライナ軍が組織的抵抗を続けることが可能になり、戦争が長期化してロシアの戦争目的が達成できるかどうか不透明になる。
そこでロシア軍としては、ゼレンスキー大統領および政府首脳の身柄の確保が最重要目的となるので、キーウを包囲して政府機能が後方に退避することを何とか阻止しようとすると思う。
大尉 しかしゼレンスキー大統領がキーウにとどまって戦うと宣言したことが、ウクライナ軍と国民の士気を非常に高め、都市部でのハイブリッド戦の効果抑制も相まって、ロシア軍の苦戦を招いていると思います。それがキーウを離れていたら、ここまでの抗戦が可能になったかどうか。
中村 それは仰る通りだと思います。ただことここに至っては、キーウが持ちこたえる可能性は2割もないと思うので、最悪の事態に備える必要があると思っています。結果、21世紀の戦争であるにもかかわらず、あたかも戦国時代の戦いのように、「大将首」すなわちゼレンスキー大統領の身柄がどうなるかによって、今後の戦争の行方が大きく左右されることになる、という理由で「ゼレンスキー大統領のクビ」のゆくえが現時点で最重要のポイントではないかと思っています。
古徳 僕は、ゼレンスキー大統領は宣言通り最後までキーウから一歩も引かないと思います。その結果、ゼレンスキーが死んだら「祖国防衛の英雄」になる訳で、ゼレンスキーがどうなろうがウクライナは抵抗を続けるのではないかと思いますね。
大尉 そこはゼレンスキーが首都に留まる勇気を示したことで、戦前の予想に大きく反して戦争指導者として「大化け」したことは、ロシア軍にとって最大の想定外だったでしょうね。
高梨 しかしゼレンスキー大統領を過度に英雄視するのもどうかと思います。今回の戦争は確かにプーチンが一方的に武力侵攻を開始した訳で、その点では一言の弁護の余地もないが、一方でゼレンスキーも東部でロシア系住民を弾圧したり、NATO加入の意欲を公言したりして、プーチンを不用意に刺激し続けた。
大尉 私は福田さんと同じで、ロシア陸軍にはウクライナ全土を占領する能力はないと思っています。侵攻の当初はロシアのウクライナ全土の掌握は時間の問題で、ジリジリと前線を進め、どこかで傀儡政権を打ち立ててゆっくりと実効支配していくと思っていました。しかしながら、強力と思われたロシア陸軍が、野戦では負けていなさそうなものの、市街戦で止まっています。この調子で都市を支配していくと、ドニエプル川の東岸を越え、どこかで攻勢週末点に達して、その線で講和に応じるのではないか。その結果、占領地域に西側との緩衝地帯になる傀儡国家が樹立されて、冷戦期の南北朝鮮、東西ドイツ、南北ベトナムのような感じで、ウクライナに東西分断国家が樹立されることになる可能性が高いのではないかと考えています。
中村 私もプーチンがまともな判断力を持っているなら、そのあたりを落とし所に考える可能性が高いと思うのですが、私が恐れているのは、ロシア陸軍の戦争継続能力とプーチンの戦争継続意思に乖離が生じる可能性です。つまり、プーチンの戦争目的として「ウクライナの非軍事化」「ウクライナに傀儡政権の樹立」を放棄する可能性は低く、仮にロシア陸軍の攻勢能力が尽きたとしても「占領能力」と「破壊能力」は別なので、場合によっては核兵器の使用も含めれば「破壊能力」が尽きてしまう訳ではないので、非占領下の西部ウクライナの都市に空爆・砲撃・ミサイル攻撃を繰り返して、ウクライナの国民を殺戮しまくって、ウクライナ国民の生命と引き換えに政府に「無条件降伏」を迫る可能性です。
最悪の事態として、決してこの予測が的中して欲しくはないと願っておりますが、現在のプーチンの行動からこの可能性が捨てきれないことを恐れています。
古徳 僕は、その逆の可能性を考えています。つまり、ゼレンスキーまたはその後継政権としては、自国民の損害を顧みずにアフガニスタンのようにロシア軍が撤兵するまで徹底抗戦を継続するのではないか。
高梨 私も古徳さんの意見に近いですね。プーチンの判断力に疑問を呈する意見が出ましたが、私はゼレンスキーの判断力にも疑問を持っていて、西側民主主義国家のような「人道主義」にたった考え方が果たしてウクライナにも通用するのか。
福田 私は、西側の経済制裁と戦争の長期化による国内の支持の喪失によって、プーチン政権が戦争継続困難になり、場合によっては政権が倒れる可能性もあるのではないかと見ています。一方でウクライナ側も決定的な反撃余力はないと思いますので、何らかの形で外交決着するしかないのでは。
中村 この中では福田さんの予測がもっとも楽観的で、ある意味自分と正反対だと感じますが、願望を述べると自分の予想は外れてぜひ福田さんの予想が的中して欲しいと願っています。いずれにせよ、この戦争でプーチンの野望が達成されることは間違いなく今後同様の侵略のハードルが低くなることを意味し、失敗に終わればその逆になることは間違いない。その意味でウクライナ人民の抵抗のゆくえが今後の世界史の方向を決める決定的な分水嶺になると思いますので、引き続き注視するとともに、我々に何ができるかを考えていきたいと思っています。それでは最後に、今回の戦争における犠牲者の方に一分間の黙祷を捧げて、今回の討論を終えさせて頂きます。
(黙祷)
----------------------------------------------------
注:弊誌では本戦争に関する姿勢表明の一環として、旧来ロシア語由来の「キエフ」表記を今後個別執筆者の特段の指定がない限り、ウクライナ語由来の「キーウ」表記で統一する予定です。読者各位のご理解いただければ幸いです。